特産品ができるまで

手摘みの手作り一番茶

更新日:2012年02月01日

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下北山村では戦前から独自のお茶が作られてきました。

しかしそれは本格的なお茶栽培ではなく、

田んぼのあぜ道などにお茶の木を植え、

家庭で新芽を摘んで一年分のお茶を作るという程度でした。

しかし標高300メートル前後、大峯山脈の麓に広がる

下北山村は朝晩の気温差が大きく、

かつ冷涼な気候が幸いして

良質で非常においしい旨みと甘みのある

お茶ができるのです。

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下北山村茶。お皿の中は工房茶入りの番茶です。

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河原に並ぶお茶の木。
機械摘みではないので一本一本離して植えられています。

それをぜひ多くの人に飲んでもらおうと、

数年前から村の有志が集まって

お茶の商品化に取り組んでいます。

しかも下北山村のお茶は、秋に有機肥料を一度与えるだけで

農薬や化学肥料は一切使いません。

2~3年おきに刈り込んでしまうせいか病気も全く発生しません。

安心・安全な下北山村のお茶。

村ならではの手作り番茶の作り方をご紹介いたします。

【1】茶摘み

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見てください!このみずみずしい若葉。

下北山村ではゴールデンウィークの田植えの前後に

新茶の「茶摘み」を行います。

しかも摘むのは秋からの栄養をたっぷりと

含んだ「一番茶」の一回だけ。

二番茶や三番茶は摘みません。

さらにお茶の茎は入れず、若葉だけを摘み取ります。

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手摘みされた柔らかい新茶。

ちなみに一番茶には、お茶の旨みの主成分とされるテアニンが

6月半ばに摘まれる二番茶と比べて3倍以上含まれているそうです。

清流の傍らで育つ下北山村茶。

元気のよい新芽を出させるため、2~3年に一度は

10センチぐらいの高さまで刈り込んでしまします。

【2】茶もみ

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新茶の乾煎り作業

この柔らかい新茶を、大きな鉄鍋で10分ほど

乾煎(からい)りします。

あたり一面に芳香が漂います。

日本茶アロマは恐らく、神経をリラックスさせる

素晴らしい効果があるに違いありません。

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ゴザの上でひたすら茶もみ

煎ったお茶を熱いうちに木綿の袋に入れ、

ワラのムシロの上で「茶もみ」をします。

この作業によって繊維が壊れ、閉じ込められていた

お茶の香りと油分が染み出してくるのです。

お茶の油のおかげで、もみ終わるころには

手がつるつるになっているそうです。

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もみあがった新茶

葉っぱがよじれていますね。

乾煎りしてもまだ新茶の緑は残っています。

これを半日から1日かけて天日で乾燥させます。

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庭に所狭しと並べられた新茶

するとこんな風に濃い色になるのです。

茶葉がすっかり乾燥してシャリシャリとした

感じになれば、おいしい番茶の出来上がりです。

番茶とは思えない素晴らしい芳香をもつお茶です。

是非一度お試しください。

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下北山村ではこの番茶に、弘法大師が広めたとされる

「弘法茶」、すなわち「カワラケツメイ」というマメ科の

山野草を入れたお茶を 「弘法茶入り番茶」としても

販売しています。

もちろん、カワラケツメイも下北山村に昔から

生えているものです。

カワラケツメイはタンニンやアントラキノン類、

フラボノイドが豊富で便秘改善や血圧上昇抑制、

眼精疲労改善や動脈硬化予防などに

効果があると言われている「健康茶」です。

【3】茶粥

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漬物や梅干し、山菜の佃煮などと食べると美味しい茶がゆ

下北山村ではお茶は単に飲むだけでなく

お茶を煮出してからそのお湯で生米を炊く

「茶がゆ」としても食べられてきました。

今でも「白がゆは欲しくないが茶がゆなら

食べる」というお年寄りがたくさんいます。

特に夏場は冷やして食べるサラリとした茶がゆが好まれ、

夏バテで食欲が無いときでも

茶がゆなら食べられるという人が多いそうです。

昔は山仕事に行く人が鍋ごと茶がゆを持ってゆき、

渓流で冷やしておいてお昼に漬物といっしょに食べたということです。

ちなみにお茶には殺菌作用や消臭効果、強い抗酸化作用によって

生活習慣病の原因となる活性酸素を抑える効果を持つカテキン類や、

代謝を促進する効果があるカフェイン、血圧降下やリラックス効果がある

テアニンなどが含まれています。

抗肥満作用や血中コレステロールの上昇を抑える

効果などもあるので、まさにいい事づくめ。

下北山村に長寿の人が多いのは、こんな「茶がゆ」のせいかもしれません!

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きなり亭の「茶がゆ定食」

「茶がゆ」は奈良県の郷土料理として、

「奈良のうまいもの」にも選ばれています。

下北山村では「きなり館」「きなり亭」で、

めはり寿司などといっしょに

「茶がゆ定食」を食べることができます。

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